2002年の卯月か皐月か。新年度スタートからは少しだけ5月方向の日々の話。
平成14年・4月20日(金)周辺。
Adalheidisはアーデルハイトと読みます。佐粧隆がリーダー。
佐粧隆は作曲家、作詞家。アーデルハイトの曲8割の作者。残りは同じ
アーデルハイトの知神翼(ギター、ドラム、ベース等担当)と
メンバーではないHardy(徳浜秀行・メインは和菓子職人)が作っています。
Rosskastanie社(ロスカスターニエ社)音楽の会社。所属はバンドが多い。
社長は【佐粧隆】。Adalheidisのリーダー。
つきこ(エレキギターとベースを少し弾けるお姉さん)31歳。
Adalheidis都内専属ヘアメイク・普段は会社勤め。小さな化粧品会社。
Rosskastanie社(社長は佐粧隆)に呼ばれると行くが、基本的にRosskastanie社
から仕事の話がつきこの勤める会社に持ち込まれ、そこでAdalheidisに関わる。
秀行(音楽名Hardy)47歳。6月には48歳になる。和菓子職人。粉砂糖の様に優しい。
つきこの白馬の王子様にはなれなくてもお婿さんになれた。茶色い馬なら乗った。
その優しさは「優しくしようと思って」の優しさではなく持って生まれた【性格】。
ただ、つきこへの優しさは重箱的な、重なった層があるというべきか、秀行本人は
自覚がないが、ねっとりべっとりとしていて複雑である。過保護とも違うのだ。
粉でも「砂糖」だからだろう。
結婚10年目で、つきこのことは常に大好き。秀行は30歳頃、病気になり、医師にも
危ないと言われたが元気になった。会社勤め(老舗の和菓子・菓子の会社)では
得るものも多かったけれど、心を失いかけたので【希望とか気持ちとか】ちゃんと
出してみようと思った。出会いから7年かけて会社員2年目のつきこと結婚。
38歳で22歳のつきこと一緒になれたのは秀行の評判が石部金吉だったが、頭は
柔らかい考え方、融通の利く人だったのが大きい。真面目で正直だったのと
容姿が良い男性なのに30歳以後はお見合いもしなかった。
つきこに会った頃から、口には出していないが、つきこに対して自分の
ミサオを守り始めたということだと思うよ。気持ち悪い人だと思う。
秀行が考えていた以上に【つきこが秀行を好きだったから】なのもある。
つきこは15歳から店に和菓子を買いに行き、学校行事でもたまに秀行と
会っていたのだが(16学年違うが高校が同じ。秀行もつきこも美術部OB。
秀行は隆のいる軽音部ではなかった)つきこは自分の一方的な思いなのは
よく知っていた。最初は顔から秀行のことを好きになった。
情報のない男性の性格や考えなんてわからないから「顔」が好きでもいいのだ。
当時つきこはギター雑誌を見て「佐粧隆」を知っていた。その佐粧隆よりも
和菓子屋さんのお兄さんは素敵な「顔」だと思っていた。それは今も変わらない。
秀行は高校生のつきこを見知っていた。お店の人とお客さんという関係。もちろん
全く何もなかった。秀行の同級生だった【暮林美術教諭】から、つきこの情報を
少し教えてもらっていた。それは他愛ないことで【つきこは渋いマンガを読んでた】
とか、美術部は全員スパゲティ好きだ等。どの画家を好きだとか、そんな小さなこと。
何もなかった、が、つきこがお店に菓子を買いに行くと、大量のおまけをつけた。
つきこが購入した【倍くらいの菓子を入れる時の袋詰め】は見破られないように慎重に
やったつもりなのだが。変なお兄さんだったな。いや、社会的に見たら【おじさん】。
秀行はこの頃は「つきこさんはXX先生のマンガが好みなんだ。それとスパゲティ
好きなのはわかった」と、涙ぐましい様な【脳のメモ・会話のため】をつけていた。
些細なことばかりで【記憶できてしまう】から紙に描く必要がなかった。
暮林も別につきこは生徒だし好みでもないためつきこの情報なんてそれほどなかった。
誰の視点かと言うと、自虐的な秀行47歳。つきこ31歳はもうすぐ帰ってくる。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
いまだに夕食当番は秀行である。つきこは朝と休日担当。基本的にどちらかに突発的
用事が出来れば、お互いに協力する。インスタントラーメンや、スパゲティ等の乾麺
は、買い置きがある家。秀行は昔から朝ご飯はたくさん食べるので、つきこは朝食は
しっかりとしたご飯を作る。時間の早い夕食だと思う。
ちなみにさっき「ただいまー」と【入って】来たのはつきこではない。
佐粧隆である。秀行の都立高校の同級生で当時軽音部の部長。大学も同じだったのだが
お互い、大学時代のことはほぼ知らない。
Rosskastanie社、社長。Adalheidisの長。中年になっても華やかな猫っぽさがあるが
どちらかと言うと犬だとみんな思っている。性格の1部分がね。主たるものはオオカミ。