つきこさんと秀行さん・水曜日の秀行の思いは重い

1999年6月30日(水)秀行の休日


何となく疲れているまま休日になった

つきこさんはいつもの様に朝ごはんを作ってくれた。20代の頃には

考えられなかった朝が普通になっている。1人暮らしより楽しい。


つきこさんと僕はいつもの様に食べた。

今朝は紅茶ではなくコーヒー牛乳。カフェオレかもしれない。

心の中では毎朝嬉しい。新婚7年目も素敵なのだ。


カップを持つ、つきこさんを見た時、「小さな手」と言ったら、

つきこさん怒る。怒ると言うより少し膨れた。

「指が白くて長い人に言われるとつらいよー」だって。

つきこさんは自分の指が短いと思っている。普通と思う。

器用だからいいと思う。つきこさんの手を好きな僕がちゃんといる。

僕の手は大きいのかもしれない。結構ゴツゴツしているよ。


「僕が好きな手だからいいの。小さな手って言ってごめん」

つきこさんはなぜか「うん、今から変えられないからいいよ。

でも、同じこと言われたらそのたびに反応するよ?」と笑うけれど。

2人でギターを弾くときは、僕の指を食べそうな位見る。


今日は隆君が夜6時半頃この家に来る。

ここらへんの夏祭りのことも聞きたいらしい。

その前にも色々話を聞いてほしいみたいだ。


仕事の量を調節して、遊びに来るらしい。

調節と言っても減らすのではなく、増やすのだ。1人で出来る

仕事は、全部やってしまう位の勢いがある。月曜日会ったのにね。

会社の人や関係者と言うのかな、普段僕が住む世界にいないから

安心して話せるのかもしれない。


つきこさんに「隆君が来るの嫌じゃない?」と聞いてみたら


「秀行さんのお友達って、みんないい人だもの。だけど何を今さら?

佐粧さんと過ごしてもう5年以上になるし、嫌だと思ったらその間に

イヤだって伝えています。いつも思うのは、叶うなら今のわたしと

同じ年齢位の、2人に会ってみたかったな。不可能だけれど」


僕は和菓子の老舗会社で会社員、隆君は既に社長しながらたまに

TVに出ていた。ツアーもあったらしい。


僕は隆君の顔も活動も知らないのに、昔からの電話番号だけ

知っていて、1年に1回位、30秒ほど話していた。


「元気?」「元気だよ」


これだと何も伝わらないのに。そんな電話。


つきこさんはカッコイイ人が好きな6年生位かな。もちろん僕と

会ったこともないし、Adalheidisの隆君もまだ知らない。


【いってきます】を言ってつきこさんは会社に行った。

朝の7時10分。つきこさんにとっては平日の水曜日だから会社。


夕食は冷やし中華にする。これから具を作ったり切ったりしよう。

終わったらゴロゴロしよう。何だか頭が休まらない。


もう会う機会がないとは思うけれど、(距離があるから向こうも

東京に観光は来ないだろうし)従姉甥の「学」が気になる。


隆君も何か言いたそうだったが言わない。つきこさんは黙っている。