1997年3月7日(金)ナイスキャッチつきこさん
「あー、びっくりした。ギター右手で抱たけれど
下に手が2本、気持ちとしては助かったって思えた」
隆君もまさかの出来事だった様子。
佐粧隆のギターのストラップが切れたんだ。
大事なギターを落としはしないと思ったが。
つきこさんはためらわず、ヘッドスライディング?を
して、ギターを救いに行った。
自分のベースをスタンドに置いている時だから
出来たことだとは思うけれど、素晴らしかったよ。
知神君が、つきこさんの小さい頃好きだった、
アニメのメロディーを自分のギターで弾いてから
「かっこよかったね」とニッコリ親指を上にあげる。
そういう役は僕がしたかったな。何で知神君が
つきこさんの好きだったアニメを知っているのか。
今回は僕は間に合わなかった。
ああ、知神君、鼻毛位伸ばそうよ。
顔を洗わないで脂っぽい汚い感じで過ごすとか。
無理なのは百も承知だけど。
末竹君が
「佐粧リーダー、こんなことないのに。ストラップの
劣化かな。今日は仕方ないからこっち使って」
替えのストラップは持ってこなかったらしい隆君だ。
末竹君はあまり口を利かない隆君にも優しい。
その後、つきこさんに「さすが元美術部だね」という。
ナルツイッセは「美術部かー、じゃあ出来るよね」とか
言っているのだが、僕も昔は美術部だったけれどね、
何かズサーって動く課題あったっけ?記憶にない。
その後は色々と音が動き回った。
弾いていたら重なる様で少しずつ後から追いかけられる。
末竹君、知神君、ガリ君に佐粧隆。僕で5人。
マンゴー君のドラムスは小学生からというから上手い。
つきこさんが間違えてもバレないだろうと大きな犬が
笑ったような顔をしてベースを弾く。可愛い。
間違えない。笑えない上達ぶりだ。
休憩になった。
つきこさんを右に、適度に離れて座るが、誰も側に
近づけない。僕は心が狭いし、ナルツイッセの2人には
つきこさんは小柄な男子だ。
すると、僕の左に隆君が来た。
「さっき、実家から電話が来た。後で少し話をさせて。
お願いします。今回は上手く行きそうなんだ。危ない
ことではないので、姫と秀行君に少し助けてほしい」
「いつもより少し顔色悪いのかな?大丈夫?」
「食欲がなくて、飲み物で2日間過ごしている」
お野菜に、お肉に、おやつは必ず。ご飯もたっぷりの
毎日で、どれか抜けたら次は倍食べる佐粧隆なのに。
「ここで言えること?」
「ナルツイッセは自販機のソファにしばらくいるし
実は末竹と知神には話をしてある。2人には可能性として
運転を手伝ってもらうかもしれない。承知してくれた」
これはドラマか映画なのか?スターが運転の手伝い?
「うん。どうしたの?僕達にも何か手伝える?」
「栄美子が入院した。同居の男と縁を切れるチャンスだ」
栄美子さんは隆君の6歳下の妹さん。
20歳で家出をして、紐男と暮らしている。
栄美子さんはいつ体調不良になってもおかしくはない
生活をしていたように思う。