2人が忘れていない優しさ・つきこさんと16歳年上の僕

1997年3月初旬 2人は何だか妙に気が合う


会話中「僕」が末竹七五三次(まつたけ・しめじ)

「ぼく」が、知神翼(ちかみ・つばさ)の発言


2人共(別々の)ラジオ番組(同じ局)を持っていたが

4月から1週おきに同じ時間帯、それぞれ2時間になった。


以前は末竹君が「月・金」に30分ずつという不思議な

時間だったのだが。知神君は1時間番組だった。



最近は「お2人で出ていただける日もあれば大歓迎」と

言われて二人ともなぜか照れくさくて恥ずかしい。



スポンサーの希望なれど、今までの2人の番組は全く

違うからだ。知神君の方がいやらしさを感じさせない

軽快なエロ話が5分ほど。名物コーナーだった。


末竹君は中高生のお悩み相談的なコーナーが2週に1回

10分。12歳から18歳(が多かった)に、いい加減な

ことは言えない。優しくリスナーに寄り添っていた。



何かあると、2人は稽古場で話す。防音だし。



「あ、まだおかきの匂いがする。窓開けようか?」


「知神君、あれは不思議だったね。真野先生が

寝そべって食べてたんだよ。僕もだけど。Hardyの

腕もあるけれど、餅も良かったんじゃないかな?」


「ぼくはHardyが乾燥した餅を揚げるところを見たんだ。

さすが和菓子屋さんて感じだったな。油の扱いは丁寧、

動きは素早かったと思う。餅はすごいね。佐粧さんが

神経質に、動物を飼っているみたいに扱っていたしね。

2人には何だかわからないものがあるね。友情かな?」


末竹君は「友情」で1回笑って、うなずいた。


「ゴミ袋1杯出来たのもすごいよね。でもやっぱり僕達は

食べちゃった。胃もたれとかは全くしなかったけれどね、

自分の餅だからって、佐粧リーダーは食いすぎだった」



その後、ぼくは佐粧さんがパンにアイスクリーム挟んで

食べていたのを見たとか、末竹君には言えない。



「知神君て、人のこと恨む?僕は実は理不尽ないじめとか

されたら、ずっと忘れないで記憶している方なんだよ」


そうやって笑う末竹君は気持ちの優しい人だ。



「忘れなくていいんじゃないかな?ぼくはボケっとしていて

言い返せなくて、20歳すぎてからも泣いたよ。ああいう奴は

一生変わらない気がする。いつか殴りたかったけれど、今は

【そういうことはしてはいけません】という仕事に就けた」



「そうだね、確かに。大事件になるし。あ、そうだった。

そんな奴の顔面で僕達の大事な手を怪我なんてダメだね」


「それに面白い人や優しい人に会えたから相談できるよ」



「本当は偉い人なのに、話しやすいよね。よく考えると

優しいし。僕、たまに忘れるけど、優しいよね」


佐粧さんのことだよね。常に優しいよ。末竹君の照れ隠し。


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秀行(Hardy)と、つきこ。夕食後。



「僕が見た衣装って、僕も着るんだね」


おかき作り、おやつタイムの後に見た衣装は、以前見た

スーツとは違って、桃の花(これは別にいい)の帽子に

胸までの長さの毛束が付いていた。こげ茶色。


着替えるんだって。面倒だな。


末竹君や知神君と合わせなければいけないのだ。

わかっていたことだ。仕方ない。



「全部がウィッグだと、頭が熱いからじゃないかな?

あのサングラスならば顔はわからないけれど、佐粧さん

鼻の下と顎に、ひげつけてもいいよって」


つけてくれるのがつきこさんでも、汗かいて取れたら

それはそれで恥ずかしいから、つけない。



「佐粧さん、おもいきったなーっておもいました。

だって、ひなまつりだからって、束帯に冠ってすごい。

いかにも誰かがやっていそうで、今までやらなかった様な」


隆君はみんなのお内裏様なんだと思う。心意気が。

空中に30㎝程浮かぶという手品も上達したらしい。


3月14日(金)、15日(土)、16(日)が、どんどん

せまってくる。ローズマリーホール3日間のコンサート。

【KYOのひなまつり】だ。


実年齢より5歳若い37歳の設定のKYO。

その実態は、隆君で僕と同じ42歳。


僕は土曜日の休日がなくなる。実年齢より5歳老けそう。