続・97年新年会の巻・つきこさんと16歳年上の僕

*2023/01/31 13:46 少々直しました。


1997年1月15日水曜日(祝日・成人式)


つきこさんがおいなりさんや太巻きをお皿にのせて

運んでいく。ありがたいことにお母さんが作って

おいてくれたものだ。


お腹が減って食事まで待てない人用かと思ったが、

朝食をみんながみんな食べているとは限らない。


僕も会社員の時は歯磨き洗顔、水飲んで出社してた。

独身の頃、何食べていたか記憶がない。



つきこさんのお母さん(僕のお母さんでもある)は

お雑煮のおつゆも、三つ葉もかまぼこも用意して

くれていた。餅はすぐ焼ける。


「昼食まで、もう少しかかるのでお雑煮を食べる方」

つきこさんがニコニコしながら聞く。


みんな餅は1個。袋入りの切り餅で大きくはないけれど

3個食べる人も1人。その名を佐粧隆と言う。



「佐粧さんさ、昼食が入らなくなるよ。

僕はおいなりさんも頂いたし、お雑煮もらうのに

何だか気が引けるのに、佐粧さん餅3個?」


真野先生が隆君に話をしている。節制の話?


「いいの。僕の体は食べたものが消える内臓だから

美味しいものは全部食べるの。明日になったら

水飲んで昼食我慢して仕事かもしれないんだし」


若者こたつ組が心配そうだ。

隆君の忙しさにか?


「皆さん、大丈夫です。社長室にはお菓子もある。

飲み物やサンドイッチもあるし、平気だからね」


末竹君、隆君の昼食無しで仕事説をぶち壊す。



さて、僕と知神君とつきこさんが昼食に出すもの。


・人参のポタージュ

・マカロニサラダ

・チンジャオロース

・蟹玉

・エビチリ

・ポトフ(具沢山、ソーセージ入り)


ご飯かフランスパンにバター


何料理?僕にもわからない。スポンサー様の

隆君がそういうものになる材料をくれた。


デザートはつきこさんが家から煮詰めて持って来たものを

冷やしている。部屋の中は暖かいからいいと思う。


・洋梨のコンポート(赤ワイン煮)


アイスクリームをのせて食べる。生クリームでも

いいのだけれど、手間を省こうかと。僕も食べたい。


洋梨の時期がよくわからないけれど、隆君が

持ってきたから、何か作るしかないし、むくだけじゃ

つまらないからと、つきこさんが作ってくれた。



雑煮を食べる真野先生。


「三つ葉いい香り。かまぼこの紅白が正月だね。僕は

雑煮5年ぶり位なんですよ。美味しいなー」



「真野先生、僕は陽と言います。再スタートで今は

学生なんですが、何か覚える方法や記憶しておく力に

コツみたいのはあるでしょうか?」


弁護士先生に聞きたいことって難しそうだな。



「ああ、つきこさんの兄上で医学部生の?

僕の場合とは違うんだろうけれど、記憶しか方法がない

ときは、読んで理解したと思ったら、白いノートに

覚えたことを全部書いていくの。そうすると何かしら

記憶忘れの書き忘れが出ます。その部分に注意しました」


「記憶しかない場合には、やはりその方法なのですね。

ありがとうございました」


「いいえ。1回書き出せば頭に入るからね」


1回で頭に入るの?それ、常人が実行できるのだろうか。



「真野さん弁護士だから、話半分に聞かないとねー。

そりゃあ人の何倍も何十倍も頑張ったと思うけれど。

アルバイトして大学に自分で弁当作って持って行って

学費も自分で出してた超人で、学生の間に試験に

受かっちゃったんだから」


隆君がそういうとみんなが「あやかりたいあやかりたい」

と言う。歯科医2人ももう立派な歯科医だし、薬剤師も

もう15年も頑張っているのに。


練馬野宮君は実家が三味線の家元で、4代目かな?でも

大卒後スーパーの副店長もしているのは、世間知らずに

ならないようにらしい。かけもちは大変だろうな。




「僕は皆さんが思っているより、学生時代はめそめそ

泣いていたよ。彼女になりたいって言う子がたまにいて、

話を聞くと英語を教えてとか。人の時間を奪う人は注意」


真野先生、優しいから時間を盗られていたのかな。

利用されたのかな?つけあがる人って男女両方いるね。


「僕や秀行君の方が、昔の真野さんよりモテたはず。

もうね、それしか勝っていたところなんてないよ」

隆君が冷めた目でニッコリ笑う。


「佐粧さんも秀行さんもモテたと思うよ。清潔感のある

美形なのは、昔も今も同じでしょう?たぶん変わってない。

それに比べたら学生の僕は小汚い格好だったし、曽祖父に

そっくりで全く日本人ぽくなかったし、怖がる人もいた」


僕はモテた覚えはない。会社員の時も。でも泣いた。

そこだけは真野先生と似ているのかな?



コックコートを着た【僕と知神君】が昼食を投下。


大皿に食べたいだけ盛り付けるビュッフェみたいにした。


知神君がつきこさんのお父さんとお母さんに、先に

昼食を持って行った。大きなお盆に2回も。

お母さんもお父さんも、知神君に目が潤っただろうな。


真野先生がつきこさんに何か話していた。

(以前つきこさんが髪を切ってあげた)

髪の状態がかなり良くなったらしい。


隆君はお上品で箸の使い方も見本みたいなのに、おかずが

気に入ったのか「ご飯が止まらないよー」と泣きまね。


皆、仲が良いみたいで何よりな30代組(こたつ組)


知神君が袋谷薬剤師に髪を染める、染毛剤のことを

聞いていた。意外な気がした。



このあと、練馬野宮君が三味線を出してくる。