僕は休憩した気分だった・つきこさんと16歳年上の僕

1997年1月7日(火)じゃんけん大会は夜みたいだ


名前に関して:佐粧・リーダー・佐粧リーダー

佐粧さん・隆君・KYO(香・きょう)全て同一人物。

佐粧隆(佐粧隆ROSSKASTANIE社長)である。



「執務室手前、同じ部屋のテーブルとソファーに来てね」


恐ろしくはやく、でも走らずに歩いて消えた、隆君。


午前中に来て、和菓子を隆君に売った所だ。


真野先生は、8階の広い仕事部屋へ戻った。



「あああ、僕は一体何しに来たんだろう」


「え?Hardy、聞いていないの?今日は社員の人達が

帰りにお祝いのお菓子もらえるんだよ。ケーキだと

食べて帰る人が多いよ。持ち帰るの大変だからだと思う。

今年は和菓子屋さん、個包装でいいねー」



末竹君、君のリーダーの隆君は何も教えてくれない。



「人数が多いからか、年に4回に分けてやるみたいですね。

今回の参加者は【冬】班かな。ぼくはここに来てから

お手伝い3回しました。お盆にお菓子のせただけですけど

お菓子の数が多かった場合は、じゃんけん大会です」



1回百個以上のお買い上げありがとうございました。

秘書の高柳さんが追加で買ってくれたのもわかる。

家の店のケースの中は、ガラガラになっていると思う。



「つきこちゃん、疲れた?午前中の打ち合わせだよね。

やっぱり他の会社と比べたら笑えるから困っちゃうね」


知神君がそんなことを言う。


つきこさんはうなずく。笑える打ち合わせ?


「今日はコント仕立てが出来ないから、佐粧リーダー

紙芝居を作って来たんだよ。絵が素晴らしいんだもん」


末竹君、それはすごいね。紙芝居を描く佐粧隆。



「佐粧さんの絵はわたし好きです。一生懸命で伝わる

物が多いから、わかりやすいです」



「隆君の絵はどんな絵なの?」


ウッ、と末竹君が何かをこらえ、口を手でふさいだ。


知神君は笑いを無理やり微笑みに変えたような顔に。



僕等は執務室に着いた。


「お帰りー。皆、ここに来る道間違ったかと思った。

ああ、でもそんなに時間はかかっていないんだね。

僕が今日、何か焦っているのかな。秀行君のお母さん

お店閉めてくれたんだって。電話でお礼は伝えたけど

改めてお会いしないとね」


「いい」


「どうして?」


「いっぱい買ってもらったから、ありがとうはこちら」


「じゃあ、5人でようかん食べよう」



僕が僕の作った売り物を、隆君にご馳走になる。

これはどこかのお菓子をいただくより【買ってもらった】

ものだから、2倍ありがたいご馳走・おやつなのか。


もしかして僕の父が作ったものかもしれない。

あ、僕が作った日付だ。


「僕が、切るのお手伝いします。本当に5つに切って

いいんだね?お茶は緑茶?」


「Hardy、僕と知神君でお茶を入れるよ。プロにようかん

切ってもらうんだもの」


幸い、普通の包丁でも美しく切れたのでホッとする。

5つに切ると想像より厚い感じになった。まあいい。

執務室内の台所は清潔だ。隆君の趣味の1つが掃除や皿洗い。



「おやつは美味しく食べて、お話は後で」


隆君から、いやーな言葉をおやつ前に聞いてしまう。



「真野さんのこと、ありがとう。真野さんに関する話。

だからね、秀行君を大変な目に巻き込むこともない」


つきこさんもにっこり。


5人でソファに座って、ようかんを食べた。緑茶を飲んだら

隆君が【小さい八重歯あった。とったのかと思ってたー】

と言って笑う。あるよ。抜く必要はないと歯科医にはずっと

言われ続けているし。虫歯もないよ。


知神君に八重歯をのぞきこまれる恥ずかしさ。


思ったより半端なかった。