日常から違う世界へ飛ぶ時期・つきこさんと16歳年上の僕

1995年11月27日(月)僕のための朝食ありがとう。


中味では同じようなものでも、サラダとソーセージが

スープになったり、トーストにハムとチーズのっかっていたり

小皿のピクルスや寒いから、ホットココアが嬉しい。


「つきこさんまた朝、5時に起きて作ってくれてるの?」


「だってー、和菓子屋さんのお兄さんは6時仕事開始だし。

わたしもゆっくり準備して7時20分には出るから」


「和菓子屋さんのお兄さんじゃないもん」

もうあと何日かで結婚3周年なのに、お兄さんとは何ぞや?


そもそも「和菓子屋の接客のお兄さん」だった僕とつきこさんは

暮らしていた日々もないのですが。


「間違った!秀行さんだ」


僕は優しい笑顔になったつもりだったのだが。


「秀行さん、ニヤニヤしている。鏡見たほうがいいよ。

美青年が台無しだよ」


素直だから鏡を見る。うわー。確かに。これで仕事場に

行ったら、父さんに蹴飛ばされるレベルの笑顔。


「いってきます。つきこさんも気を付けて」


「いってらっしゃい。電車の事故と横断歩道に気を付けて

会社行くからねー」


心配になる。電車の事故なんか気をつけられるのだろうか?



今日は通常よく売れる菓子は父が引き受けてくれた。


病院食で「とろみ、または喉に引っかからない、こしあんもの」

を頼まれたので、慎重に作っていた。カロリー計算も病院の

栄養士さんがいるが、一応僕もやっているのでシールを貼る。


(やっと甘いものが食べられる様になった患者さん、少し固いもの

に挑戦。いままでは重湯ばかりとか、噛む力がない方とかのおやつか

夕食後に出すらしい。55個位。5個は味見してもらう)


たまにはこんなこともあるんだよ。もちろん他の商品の餡子が

物によって違う様に、餡子から作るのだけれど。味は薄め。


無事に昼休憩の塩結びを食べ、干菓子を数えて作り足し、要冷蔵の

菓子をしまい、鬼を倒すかのような勢いで掃除をしたら5時になった。



「わーい、ただいまー」

ダメだ。わーいって言う癖が抜けない。

今日はミートソーススパゲティにサラダ。リンゴのゼリー。


準備OK。あとはスパゲティを茹でて、ミートソースにもう1回

火を入れればいい。つきこさん早く帰ってこないかな。


「秀行さん、お帰りなさい。いいにおい。ただいまー」


僕から見ると、化粧っ気のない地味なつきこさんが25歳で

会社だと主任だなんて、不思議に見える。幼く見えるし。


「駅の上から見たらどうも佐粧さんに似ている、学校の

事務の人みたいな人と、汚れた後のある作業着の知神さんに

似た人がいて。もうすぐここに来るんじゃないかな?」


「僕は知らないけどな?昨日Q工業のギターの上手い子の

話はしたけれど。2人で確かめに行くっていっても車でしょ?」


いや、目立つから電車で行ったとか、あり得るね。


リーン・ベルベルベルベル


火を入れる前で良かった。お湯は後でまた続きを沸かそう。