1:秀行の和菓子屋さん・つきこさんと16歳年上の僕

1995年11月25日(土)初めてつきこさんとお店にいる僕


僕の父と母は商店街の仲良し仲間と2年に1回(確実ではない

仲良しが集まれるかどうか。定休日も違うし)の旅行だ。


行く予定だった場所の宿にケチが付いたので今日になった。


幹事さんが奮闘してくれたので、行き先と宿も決まったのだ。

1泊2日の旅行。両親は楽しそうに出かけて行った。


店なんか捨てちゃいそうな笑顔。ちょっと羨ましかった。



実は、昨日は衣装がどうとかで隆君が泊りに来なかったんだ。


たまにはそういうこともあるとは思っていたのに、そういう日は

なかなか来なかったので、つきこさんとギター弾いたり。

ギターはね、教えてあげないことで泣きまねされた。


うまくなられても困るんだ。来年の1月、中級者認定受ける

予定みたいだから、あんまり嬉しくない。ますます隆君に

可愛がられちゃうよ。


つきこさんは純粋に自分のレベルを上げたいだけみたい。



隆君はやりたいことは全部しちゃうから、またスタイリスト

(他のバンドのとか)やっていたんじゃないだろうか?

宣材写真、グッズの写真撮るとか。



僕の仕事場の格好。


白の作業着(首下まである。釦取れたら困るのでファスナー)と

衛生帽。髪や首が出ない様に耳の垂れたワンコみたいな帽子。


口元はメッシュの羽みたいなものを、右と左から合わせて

マスク状に重ねたものを、耳の下でマジックテープでとめる。

これは帽子の内側についている。


ああ、僕は文才がない。


背中の方の首の毛は、見えにくいので、とにかく作業着の中に

入れてから帽子をかぶる。この方法にするまでは、1ヶ月に

1回プラスアルファで理髪店へ。今は寒い時は「微妙に」長髪。


バレない。この店の僕の中の長髪は首に収まっている位。

世間一般の基準より短いのは言うまでもなく。



今日のお店の店員さんはつきこさん。


つきこさんは小紋を着ている。その上に白い三角巾と割烹着。

着物は茶色の地に模様は桜。割烹着に隠れちゃうんだけれど。

僕は日本の花も外国の花も1年中、着ていいと思う人間。


何月に何が咲くとかうっすら覚えていればいいのではないかと。


つきこさんは菓子の値段をずーっと眺めていたがニコっと

笑って頭を上げた。僕?仕事場からなんとなく眺めてる。


良かった。強化ガラスで仕事場と店が互いに見える場所を

作っておいて。まあ、扉2つ開けたらすぐ店に行けるけれど。


2人お客さん。つきこさんがレジ出来るのかなと思って、僕は

大きな電卓と、大きなメモ用紙を置いておいたのだけれど

トングで紙箱に入れて、値段も覚えた?レジも間違いなく計算。



僕は手が止まってもいい和菓子を作っていたから(嘘くさい?)

(プラカップに盛り付けるだけのとかを想像して下さい)

お店を度々眺めていた。



3人目の客。背が高いな。


「ごめんくださぁい」


胸から下を見る。ちょっと高級そうな袷。帯も正絹角帯だね、あれは。


「いらっしゃいませ」


気のせいかつきこさんの肩が震えている様な。


「ええと、ようかん10本と、雪うさぎさん?もうあるの?」



「はい。少し早めにご用意いたしております。ようかんは

こしあんになさいますか?つぶあん?」


「こしあん10本と、ううん、12本と雪うさぎ15個下さい」



全くもう、2人でお店やさんごっこ?


とりあえずお買い上げいただきましょう。



「ちょっと、隆君、今日は踊りの先生?」



お店は店員さんなのに仕事場の人が出て来たーと言われた。