僕たちの時の親戚と招待客は・つきこさんと16歳年上の僕

1995年10月20日(金)つきこさんの会社での話。


今日は帰宅後キャベツと豚バラを何回か重ねたものを圧力鍋で

煮たおかず。(蒸した、が正しいのか?味付けはなし)

ポン酢で食べるのが好き。2人共。


つきこさんの常備菜は便利。僕は3日も取っておけない。

今日は大根とツナの和え物みたいなやつ。名前がわからないよ。


ご飯と味噌汁。味噌汁はなめこ。なめこの好きな隆君は来週

出張から戻ってくる。


日本以外で仕事して移動して、ご飯も自力で食べるなんて怖い。

僕は異国は怖いな。


「秀行さん、今日は寺井次長が」


「寺井君がどうかしたの?」


僕の大学時代、バイト先で知り合った友達。まさかつきこさんの

上司になるとは。同じ大学で僕は経営、寺井君と隆君は英文学科。


寺井君は前にいた外資系の会社からフランスに3年間海外赴任。

どうも僕の知り合いは、語学に堪能の様だ。


「大きな声でねー、【大きな声じゃ言えないけれど、わたくしの

元婚約者の結婚相手が逃げ出して、無事に東京のどこかに帰って来た。

これで1月中旬の結婚式に出なくてすむ。Happy&Luckyだよー】って」


「うそお。寺井君の郷里でケーキ屋とお惣菜屋してたパティシエ?

有名な製菓学校の洋菓子コースの講師をしていた人だよね?」


寺井君の「元」婚約者は東京で専門学校の洋菓子コースで勉強を

するのを数ヵ月であきらめ、その代わりに講師を連れて実家に

戻った。寺井君の実家のあるちょっと遠い他県。


元婚約者と寺井君は20年間婚約者だった。小学生だった元婚約者に

寺井君はお菓子を買ってあげたこともあったとか。親同士が軽く

決めちゃうとか後から聞いた。別れても何のペナルティもないとか。


僕はそんなの耐えられない。


あと、婚約解消しても、今までどおりお付き合いに支障はないとか。

ないわけないじゃないかと思う。おおらかなのか、考え方の違い?


「元婚約者さんのご両親が【娘が東京でケーキの勉強しているから

戻ったらここでケーキ店やれるように】ってお店作っちゃったでしょ、

パティシエ連れて帰ってお店が無駄にならなくて良かったのにね」


寺井君も優しいから、元婚約者とパティシエのことをそんな風に

思っていたみたいだった。元婚約者さんは僕に言わせると、かなり

その地域では裕福でわがままになってしまった娘さんだった。



「寺井君の発言は、まるでパティシエの方を応援しているみたいだ」



「結婚式に出るのが面倒、帰ると疲れるとか言っていたけれど。

なんで元婚約者の挙式、披露宴に出ないといけないんだろう。他の

出席者は気にしないのかな。お祝い出すだけじゃダメなのかな」


「僕達の住んでいる場所が正しいってわけでもないからね。でもさ

長い間、お付き合いしていた異性って普通よばないよ。僕だったら

耐えられない。花婿だとしても、寺井君の立場でもね」


「全国的に売っている冠婚葬祭の本でも新郎は女友達を、新婦は

男友達を招待するときはよく考えましょうってなっているけれど。

招待するなら2人できちんと話し合ってからとか今さらなことが」


ここらへんだとそうだと思う。


実は僕達のときは「30人以内のコース」の中で披露宴の内容を

決めたというだけの話で、実際は30人も招待客はいなかった。


父が1人っ子、僕も1人っ子、母の姉は九州に移住。従姉は1人のみ。

高校生の子が進路に悩んでいるというときで、祝電とお祝いを頂いた。


そうすると、僕の血縁は両親だけになる。案外そんなものだよ。

その時僕は38歳で、祖父母は4人共いなかった。少し残念だったな。


つきこさんの家は両親と5歳上のお兄さん。お父さんの妹(僕の

義叔母)とその娘(つきこさんが嫌いな従妹)がどうしても出席

したいということで、つきこさんが悩んでいた。僕は来てもらえば

いいよ、どうせお話しする暇ないよと話した記憶が。


後日その従妹の結婚式に参加して、つきこさんが嫌がった理由が

わかったけれど。2人は3歳位から仲が悪かったという。


つきこさんのお母さんの弟という叔父さんは強烈にハンサムだった。

過分なお祝いを頂いてしまった。9歳僕より年上なだけ。

つきこさんにも僕にも優しい。独り者なのに清潔感あふれる感じ。


お母さんのもう1人の上の弟、叔父さん一家はオレゴンに駐在中。

電話で僕とお話してくれた。クリスマス頃にキルトの上掛け布団と

(僕のベッド用だった)あと、僕の口座にお祝いを送ってくれた。


日本の宅配便が使えるので助かった。お礼は向こうだと値の張る日本の

スーパーのお菓子、デパートの日持ちのする洋菓子(クッキーとか)や

文庫本、雑誌類(日本の活字に飢えているって)子供は中3と高3男子

なので漫画も少し入れたっけ。僕の「ようかん」と「干菓子」もね。


親戚はあまり呼べなかったけれど、親しくなれた気はした。


「秀行さん、何かうっとりしているよ、大学時代のお友達で綺麗な

お姉さんがいたとかバイト先にキレイなお姉さんがいたとか?

でも披露宴には女の人いなかったね」


綺麗なお姉さんも呼ぶ女性もいなかったもの。

つきこさん招待状書いてくれたでしょう。あれだけ。


「つきこさん、僕は大学生の時にふられてそのまま社会人になって

会社では人がいない時は泣いていて、たまに家に帰ればお見合い相手の

女性とは考え方が合わないからサヨウナラしてたんだってば」


「そうじゃないと、秀行さんがわたしのところに来なかったはず。

だからその人たちにありがとうって何となく思っちゃう」


つきこさん、ありがとう。でもその人たちにありがとうって思う

必要はないよ。僕は家族以外にはその頃冷酷だったよ。30歳過ぎて

本来の自分に戻ったんだ。


「つきこさん、パティシエさんて、何で逃げたんだろうね」


「寺井次長は色々な店があって、ライバルもいるこっちに戻りたく

なったんじゃないかって。狭い町で1つのお店って、かなり売れたと

思うけれど、それはそれでさみしいんだよ、って」


「そうかもしれない。この区の北に和菓子屋さんがなかったら

僕もつまらないかもしれない。同じものはあまり置かないけれど

競争相手がいた上で、たくさん売れたら嬉しいかも」


「パティシエさん、お仕事みつかったかな?」


「大丈夫だよ。菓子製造技能士1級で洋菓子があれば。変なやめ方を

していなければ、元の専門学校で講師に戻れるし教員も出来るでしょう」



今度つきこさんに年1回講義をしにいく学校の話をしてあげよう。