1・水曜日の稽古場にて・つきこさんと16歳年上の僕

1995年10月18日(水)怪奇現象なギターなのか?



リーダーのお菓子ギター(お菓子の絵が描いてある)はなぜか

謎のギターになっている様子。



僕は信じない。弾くの楽しみ。だって、新品の特注だよ。勝負だ!



僕は休日、Adalheidisのリーダー・ROSSKASTANIE社長の佐粧隆、

僕にとっては「我が家によく来るお友達」の隆君は海外出張。



代わりにはなれなくても弾くだけならリーダーのパートは

僕にも弾けるから、稽古に参加しちゃったのだが。



顔が美形じゃないと音が出なかったり、ギターの弦が切れる

らしい。形はレス〇ール風なのに、ペンキで塗ったような濃い

水色。可愛いケーキやキャンディ、チョコの絵の乙女なギター。



「ハーディー、大丈夫だよ。リーダーが平気だったんだし」


末竹君の応援は何か不思議な面白さ。リーダーが平気だったって

なんか笑えてしまう。リラックスできたよ。


「弦が切れたらこのギターに合っていないだけでしょう」


知神君がやはりまっとうなことを言っている様な気がする。



まずはピックを使わず、アンプにもつながないで、生の音を

聞いてみる。



「あ、音が出る。知神君、やっぱりハーディーは美青年なんだ」



「末竹君、違う違う。単にこれは慣れだよ。08、エクストラだし。

人によると思うけれど面白いね。このギターの見た目だと11とか

使いそうだし。リーダーに騙された気がする」



僕はまずエフェクターなしでアンプにガツンと刺しこんで弾いた。

可愛い綺麗な音が出る。サラサラ、シャラシャラと。



「僕がまずリーダーの代わりにソロパートをやるから、すぐに

末竹君、入って来てね」



うん、なんかいい感じ。面白いけれど綺麗な音だね。



「あー、合わさるとスィートな感じ。僕のギター入ると少しだけ

ほろ苦くなるチョコみたい。舞茸の天ぷらにマグロのお寿司ー」



よく意味は分からないけれど、末竹君が楽しそうだからいい。

そうか、甘い感じのギター。雰囲気も音もなんだね。



だけど、弾けて良かった。僕が失敗したらつきこさんが大根を

目で齧るとか言っていたし。やらせないけれど。責任は重かった。



「おはようございます」



「わー嬉しいね、イサさんだ。よかったー」 末竹君。



「ぼくも嬉しいです。なんだか落ち着きます」知神君。



「イサさん、今日は僕ですがよろしくお願いします。リーダーは

社長になって出張しちゃいまして。今日だけ稽古に参加しています」



知神君が、イサさんの持ってきたベースのケースを入り口から丁寧に

運んで、静かにスタンドの近くに置いた。



イサさんは片手を少しあげて、拝む真似で知神君にお礼の仕草。

重かったのか?声を出すのもしんどいのだろうか?



「イサさん、セットリストとイサさんの楽譜」


末竹君が、イサさんに渡す。え?そこから始めるの?ということは

打ち合わせに来ただけとか個人で曲の練習していたのかな。



みんな言わないだけで、イサさんの顔色は良くない。日焼けしない

人なので、青い感じ。僕は高柳さんに許可してもらったことをする。



「4人で始める前に少しの時間、お茶にしましょう。ボロボロと

ゴミが落ちないから小さな薄皮饅頭ですが。インスタントの珈琲と

ティーバッグの紅茶もありますよ。紙コップ2重がいいかな」



末竹君はコーヒーと饅頭を試すといい、知神君は紅茶でお饅頭を

食べてみたいといい、イサさんは紅茶に粉末ミルクと砂糖を入れた。



「やっぱりハーディーは超高額なギター教室やって、お菓子も

売りつけるとか、お茶とセットにするとかやればいいのに。僕は

このお饅頭大好きなんだ。お姉さんも喜んでくれたし」


ギター教室なのか、お茶の教室なのか不思議な場所だね、そこ。


「え?いつ買いに来たの?」


「青井さんが行くときにお金渡して頼んだの」



「お買い上げありがとうございました」


「他の生菓子と比べて少し日持ちがするから、郷里に送れるし」



「紅茶に合う。お饅頭のあまさが上品でティーバッグの紅茶の

グレードが上がる気がします」


知神君、何お世辞言ってるの?



「この間もう1つの定番、きんつばをラジオのスタッフの差し入れに

持って行ったらとても喜んでくれて。でもね、Hardy」



「それはどうもありがとう。でもなあに?」



「Hardyの母上でしょう?いつもおまけしてくださるから、返って

行きにくくなってしまうんです。20個買ったのに5個増えてるとか」



「僕も。青井さんから20個饅頭受け取ったら5個も多かったんだ」



「皆のファンなんだよ。ROSSKASTANIEの。もし余ったら期限には

廃棄でしょう?新しいうちに食べてほしいんじゃないかな。別に

気にしなくていいよ。ファンクラブもないし皆が可愛いんだよ」


母さん、何も言わなかった。きんつば買いに知神君来ていたなんて。



次にイサさんの話が始まった。