撮影の意味はわかるのに・つきこさんと16歳年上の僕

1995年10月14日(土)ホットケーキの粉見つけた!


朝の6時半に起きた。昨日は【あかたろう】を読んでいたら

隆君はすやすや寝てしまった。僕達は布団を「たっぷりと」

離して、ゆっくりと眠った。



いつもは朝の6時から仕事なので、休日の朝6時半まで眠れたら

いい方だと思う。冷蔵庫には朝ご飯の準備として、りんごに

サラダ用の野菜やベーコン、卵、ピーマン、ハム、トマト。



キャベツ、焼きそば2袋?(6人前)がある。キャベツと焼きそば

以外は昨日知神君がそろえておいてくれたものだ。ピーマンは

焼きそば向きかな。でも炒めると美味しいんだよね。



「つきこさん、ホットケーキの粉、賞味期限過ぎても隆君は

使わないし、朝からドロップドーナツ作っちゃおうか。パンは

冷凍してあるし。サラダとか卵、お願いしてもいい?」



「はい。ホカホカのお菓子みたいな朝ご飯、佐粧さんもきっと

喜ぶと思うな。卵とベーコンは一緒でいいよね?」



「作る時も、お皿も一緒でいいよ。おまかせします」



牛乳、卵、バター、砂糖。あるから大丈夫。久しぶりだからね、

スプーン2本を操れるか。まあ大丈夫でしょう。少し深めの

フライパンを勝手に使う。なかなかうまく出来たよ。




「隆君、なんだ、もう起きてたんだ」



「どうせ朝ご飯に美味しいものが出来ると思って寝たふりを少々。

ねえ、あかたろうって、垢でお人形作るんだね。たぶん僕は

そこまで垢をためられないと思うんだよ。お風呂入りたくなる」



垢をためてお人形作る必要はないじゃないか。


洗面洗顔後、目もしっかり開いた綺麗な男が席に着いた。


その名は佐粧隆。



「これ、何?」



「ドロップドーナツだよ。末竹君が小さい頃お姉さんが作って

くれて感動したとか昨日言ってたでしょ?まあこれは僕が作って

みたんだけれど、たまには朝から面白いかなって。ホカホカだよ」



「食べるー。いただきます。これがドロップドーナツなんだ?

お菓子の本で見ただけで、食べるのは初めてなんだよ。美味しい」



「牛乳、飲むといいよ。きっと美味しいよ」



隆君の家にはサラダ用のドレッシングが5種類くらいある。


お行儀悪く少しずつ何種類もかけて食べる僕。なんか高級品な味。



「サラダも卵もベーコンも、美味しい。僕は1人だと温かいものは

電子レンジか、電気ポットのお湯だけだから。これで末竹が言っていた

ドロップドーナツのことがわかった。穴がないのに美味しいねえ」



料理しないし、完ぺきに1人者なのに、古新聞や油を貯める入れ物

3種類の食器洗いスポンジ、コップ荒いのブラシ型スポンジ、切れる

包丁などは、きちんと用意している凝り性の隆君。


鍋の汚れとかを拭いて捨てるぼろ布らしきものがあったのだが


新品の雑巾の束の様で、何となく使えない貧乏性な僕。




そのあと何があったかと言うと、僕は焼きそばを作り、塩水にりんごを


漬け、保存容器に入れた後、3人でROSSKASTANIE社に出発した。



「面白かったー。秀行君、スーツにエプロンでご飯作ってるし」



眠るときはパジャマ借りたけれど、朝には着替えるし、昨日の夜は

スーツで来いって自分で言ったじゃないか。



「朝ご飯しっかり食べると僕の脳も通常の3倍は働きそうで嬉しい」



そんなに働くと、脳が傷まない?


隆君の車の後部座席から降りる僕とつきこさん。




「撮影始めるからね」と隆君。



稽古場に移動させられ、僕はギターを抱えさせられた。


黒いマント。



「目線は左足。顔は写らない様に撮る。安心して。モノクロ」


「出来たら見せてほしい。やっぱり不安なんだよ」


「必ず。どう使うかもきちんと説明するから」



次にピアノの前に連れてこられた。



「なんか弾いて。顔うつさないから安心して」


「これも結婚指輪外さないよ」

(本当はいけないのかもしれないけれど)



「そうだね。手の方から撮ろうか」




写真家としての腕は信頼しているが、この「もしも」の時


使うかもしれないという【僕の写真】はとっても不安だ。



「あれ、つきこさんがいない」



「姫は着替えてもらうの。ゲスト回の日に挟む紙に、小さ目の

大きさで、白薔薇を入れる。HardyはいつもHardyだから撮影はなし。

それともクリーム色のスーツ着てくる?」



「スターじゃないんだからそんなに着替えなくてもいいよ」



「遅くなりました」



つきこさん、クリーム色の真知子巻きにサングラス、セーターは

鼻まで伸ばして顔がわからない。スカートは足首まで長い。これは

僕はOK出来る。誰かわからないから。



「姫もモノクロだからね。少し右下見て。そうそうそのまま」




「おはようございます」



知神君がクリーム色のタキシードでやって来た。



「はーい、じゃあ知神君さ、姫の真横。まずは姫の肩に軽く

手をかけてみて。うん。顔は少し斜め上。右ね」



なんか僕、すごく具合が悪くなりそう。