1つ何かが終わったらまた何?・つきこさんと16歳年上の僕

1995年10月12日(木)2人共仕事。


昨日、実はつきこさんがコロコロした可愛いじゃがいもを

会社から持って帰ってきた。



他県に住む清水さんのお母さんが、畑で作ったものを大量に

送ってくれたらしい。



彼女へのプロポーズに成功した清水さん。式の準備で休日変更など

色々あるからなのか、職場に気を使っている。人生の一大事だ。



つきこさんは蒸かしたじゃが芋を袋に入れて隆君に渡した。



「夜中に何か食べたくなったら食べるー。チョコとかお菓子は

やめたの。バターと塩で食べるー。姫は僕に優しいねー」


それは家にも半分あるし、生のもまだあるからあげるんだよ。


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今日は栗あんのお菓子。季節は秋の実りの時期。



仕事が終わったら僕はすぐ帰る。待っていたら帰ってくる人がいる。



リーン・ベルベルベルベル



何で?



「秀行君、今から休憩なんだ」



「じゃあ、少し休んだら?休憩終わったら仕事でしょ?」



「よその国から電話が来る。眠ったりは出来ないの。来たよ、来た。

Mからお電話が。木場はるこさんのお宅にご挨拶に行ったんだって。

その電話は午後に入ってからだけど」



木場はるこさんは、つきこさんの高校の同級生だった。つまり

僕や隆君の後輩にあたるわけで、Mと結婚するかもしれないと

言うことを、ただただ心配していた。



心配しか出来ない。2人とも大人だし。



「お付き合いしていますってMが言ったら、娘には友達としか

聞いていないって言われたって。先制攻撃だね。はるこさんは急に

生徒さんが来たからって、その場を外したらしいよ。うはははは」



なんかワクワクする。



「変わってお兄さんが来たんだって。出版社勤めの。いつもは

会社の近くに住む独身らしいんだけど、Mのことは全てさかのぼって

調べていたらしいよ。おまけに結婚したら異国に行くことまで色々と

聞き出されちゃったらしい。妹のいるお兄さんて怖いね」



隆君も妹のいるお兄さんだが。つきこさんのお兄さんはいい人だけれど

年下なのに鋭い感じはする。そこまで頑張ったか木場家、出版社兄よ。



「Mはね、しばらく音楽活動なんて無理だってさ。はるこさんは

今まで会った中で、2番目に大好きだったとか言うんだ。それも

失礼しちゃうね。2番目。木場家も用心深くて良かったと思う」



「はるこさんは、失恋の痛手を受けていないの?」



それがなければ、もうどうでもいい。Mの胸が壊れようが泣こうが。



「Mが言うには挙式の話をして、招待状を作った頃から何となく

いやがられている様な気がしたんだって。Mは今まで狙った女性から

嫌われる経験ないのかも。はるこさんにはもう会えないらしいよ」



はるこさんはMの本当の話を知ったんだろうな。



「コーヒーショップ辞めて、保育園で今、保母の非常勤を始めた

みたいだよ。もう資格はあるし、正規の職員にもなれるだろう」


色魔につかまって異国で捨てられたりしたら大変だ。



「お父さんはスリムだけど柔道5段なんだって。はるこさんも

フルコンタクトの空手を3年ほど前始めたらしいよ。Mは親子2人に

倒されちゃうだろうね。Mは破談というより友達を解消させられた」



最初からMには縁がなかったんだよ。それにしてもはるこさんの

家は何だかすごいね。



「はるこさんのお父さん、警察官みたいだから。だから何がって

話だけど、Mは怖くて挨拶に行くのが遅くなったんだろうね」



たぶん、悪いことしていない僕だって何となく怖い。Mなんかは

なおさらだと思うけれど。


「姫にじゃがいもありがとう、全部食べたっていって。真夜中に食べると

何で美味しいんだろう。衣装が入らなくなると困るから、余計に僕は舞に

燃えるね。そういう性格みたい」


本当に頑張ってよね。


じゃがいもでお腹出たとか許さないよ。



「金曜の夜か土曜の朝、パンフレットの撮影だからね」



何それ?どういうこと?



意味が分からないよ、また騙されるの?僕は?