可愛いの意味が違う・つきこさんと16歳年上の僕

1995年6月13日から14日(水)の真夜中までTVを見ました。


1つだけ言うと、つきこさんも僕もシャワー浴びて、パジャマ着て

リビングで雑誌を見たり、漫画読んだり、小説を読んだりしていたので

馬鹿みたいにKYOが出てくる時間を待っていたわけじゃない。


「なんでつきこさんてトイレ掃除気が付くとしているの?1日おきとかでも

もっと言うと週末だけでも綺麗なのに。小学生の僕がいるならわかるけれど」


僕も気を付けているし、掃除はしている。汚れかけたらしちゃう。


「昔騙されたから。トイレ掃除をする女の子は綺麗になるって言われたの。

でも高校生までにならなかったから、母に文句言ったら【こころがキレイには

なったかもしれないから、後は28歳まで顔は待ってみたら】だって」



何かそんな話は聞いたことある。昔からよく女性が母親に言われていたのかも。

掃除とか清潔にすることを希望とともに学んだのかな。つきこさん美人になりたい?


男性の一人暮らしでも人によるけれど、僕はよくした。大人になってからだから

知神翼君みたいにはならなかった。別に期待して掃除していなかったけれど。


「28歳がラストチャンスだよー。美人になれなかったら悲しいなあ」


それ、まだお義母さんに騙されているから。28歳で突然顔は変わらないよ。


それとも、28歳でトイレ掃除辞めちゃうのかな?あははははははは。



「今、秀行さんに笑われた気がする。でも、ためらいながら入るお手洗いは

よくないよね。お化けが出そうとか、臭いが気になるとか」


「大丈夫だって。28歳にならなくても今も可愛いし、50歳過ぎてもきっと

僕にはつきこさんが可愛いから」


「可愛いと美人は違う気がする。美人は誰が見ても美人で、可愛いは

この世に数人しかそう思ってくれる人がいない様な気がする」


いいえ、この世に数人とかはありえません。もっともっといるけれど、1番

そう思うのは僕。深夜にこんな話をすると笑われてお終いなのでしないけれど。



「でもね、いまわたしのそばに秀行さんがいてくれるからもういいんだ。

一生分の運を使ってしまったのなら、喜んでお掃除しなきゃ」


つきこさん、半分眠ってるのかな?


「つきこさん、KYO出る前に岩雪だよ」



「あ、岩雪さん、襟がすごく開いてる。肌の色に近くした白粉を混ぜて刷毛で

塗った後、叩きこんでる感じ。顔も同じ色だし。髪も黒いウィッグは珍しい」



「あれは、肌の色は違うけれど、半玉さんとか芸者さんみたいな塗り方?」

僕の芸者さんのイメージは黒い着物に日本髪のかつらに真っ白の顔の

イメージがある。本物の人にお会いしたことはない。



「そうそう。おそらく歌舞伎とか舞台用の化粧品と道具。香料もないし肌に

優しいけれど湿疹とか肌荒れにはどうなんだろう。落ちにくいし」


岩雪は畳に足を伸ばして座っていた。1番大きな日本人形を両手で持って

(赤ちゃん位)何がおかしいのかうす笑いが止まらない顔。赤と白のチェックの

ドレスは似合う。ベルトの幅が半幅帯みたいで長い。リボン結びにしている。



歌い始めた声を聞くと、つきこさんは無視して冷蔵庫に行って麦茶に氷を入れた

グラスを2つ持ってきた。以前誰かから借りていた声ではなく、岩雪の声を加工

した、女性よりの声だ。


「秀行さん、そろそろ怖くなりそう。だけど、お約束の絵具かペンキだと思う」


僕は麦茶を飲んで画面を見つめる。時間的には怖さはもう出さないとね。


「あ、ビックリした。何あれ?」


「ホラー映画のPVだから壁に血のシミとか演出したんじゃない?今、後ろを

むいているけど、たぶん岩雪さん血まみれとか、傷メイクで振り返るよ」


岩雪は両目の側から滴り落ちる血のりで、振り返って、口パク。終了。

声はホラーに合わせてなのか、急にかすれたり高音や低音になってわざとらしい。



「あざとい」 つきこさんが言った。


こんな夜中に見て、訳が分からないんだもの、きっと調べるの狙ってる、だって。


たぶん僕も1人だったら気になって、今どきのこんな古いタイプのホラーお化けは

突き止めていたと思う。幽霊の正体見たり枯れ尾花、そこまで行かないと怖いし。


僕はウソついて「あー怖かった」と言ってから、つきこさんの手を僕の方に

1つ持ってきた。両手で触るから1つでいい。


「KYOのは本人が可愛いって自慢してたよ」



「はーい。そばかすはわたしが消しました。ライトあるし綺麗に消えます」


「何これ、可愛いー」


「ほらもう言った。秀行さん、KYOにも騙されている」


お菓子の壁紙の中で優しい目をして歌うKYOは、可愛い。隆君ではない様だ。

CDでも聞いたけれど画面にでてくるのはおかしい、いや面白い。


手の中にキャンディーが3つ、白と黄色と紫。KYOは椅子にキャンディーをのせて

部屋を出て行くと、歌が終了。キャンディーは白と黄色と紫のクマに変わった。



「秀行さんも見たよね、これでやっと守秘義務が」


「KYOがなにかやったの?」


「白いキャンディーが3つで、僕が立ち去ったらそこに【肉まん】置いて。

そう言って、スタッフを困らせた。世界観が違っちゃうのに」



「この流れで肉まん?ぎゃはははははは。だって近くても会えない好きな人に

キャンディーだけでも渡したいな、っていう気持ちが何で肉まんになるのか謎だよ。

ぬいぐるみを見て歌詞の【君を思う】のか【贈りたい】のかはわからないけれど」


クマと言おうとして、お腹すいていたから肉まんと言ったとか?


「肉まんは、美味しい。でも10代後半から20代前半女性には夢がないと思う。

わたしだったら、ここにいる腕利きの和菓子職人さんの干菓子がいいなあ」



僕はときどき言葉が出なくなるので、つきこさんを片手で抱えて(たぶん右手だった)


自分の部屋に連れて行きました。